【万歳三唱の日】この日、大日本帝国憲法の発布が祝われた!

2月11日は「国民の祝日」の「建国記念の日」である他、「万歳三唱の日」でもあります。明治22年(1889年)2月11日、大日本帝国憲法が発布されたの祝って、明治天皇に対して万歳三唱しました。

日本国民統合の象徴としての初代天皇・神武(じんむ)が即位し、「建国記念の日」となっている2月11日に、実質的なアジア初の近代憲法とされる大日本帝国憲法が第122代天皇・明治の治世で発布されたことは、何か因縁みたいなものを感じます。

この日は、新しい日本が建国されたとも言えるのではないでしょうか。そのため、明治天皇に対して歓呼する言葉の無かった日本においては、何か素晴らしい喜びを表す表現が必要だったのです。

イギリスには、一般的に国歌扱いの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン(女王陛下万歳/神よ女王を護り賜え)」という賛歌があります。国王が男王となれば、クイーン(女王)がキング(国王)となって、曲名と歌詞が変わるのです。

フランスには「ヴィヴ・ラ・フランス(フランス万歳)」、イタリアでは「ヴィヴァ・イタリア(イタリア万歳)」、悪名高きナチス時代のドイツでは「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)」や「ジーク・ハイル(勝利万歳)」など、日本語に「万歳」と訳される表現が広くヨーロッパに見られます。

アジアの漢字圏においても、元々は中国の「千秋万歳(せんしゅうばんぜい)」と言って、皇帝の寿命が非常に長い年月(千秋)一万年(万歳)も続くことを表わした言葉からきています。現代中国語では「ワンスイ/ワンソェー」、韓国・北朝鮮では「マンセー/マンセ」、日本では「ばんざい/ばんぜい」と読みます。

日本の「万歳」の歴史は、平安時代に生まれた雅楽(日本の伝統音楽)まで遡れます。雅楽の曲に「万歳楽(まんざいらく)」というものがあり、これは君主の長久を祝うものでした。ちなみに、今では歌舞伎・大相撲から始まり、広く演劇・興行でも使われるようになった「千秋楽(せんしゅうらく)」も同じような祝言の意味があります。

「万歳楽」はやがて芸能の「萬歳(まんざい)」となり、演芸・話芸の「漫才(まんざい)」に繋がっていきます。そして、江戸時代の浄瑠璃(じょうるり)の曲の中には、「…、へへ萬歳、萬歳萬歳萬歳、萬歳楽で御喜びだ、…」という”まんざい”を連呼するセリフがあったのです。

東京帝国大学の学生が明治天皇を奉送迎しようと、それまでの最敬礼だけでは物足りないので、何か歓呼の言葉を挙げようということになり、教授の和田垣謙三が「万歳、万歳、万々歳」という「万歳三唱」を考え出したのです。

明治22年2月11日、いよいよ明治天皇が臨時観兵式のため青山練兵場へ馬車で向かってやってきます。学生たちがまず一声高らかに「万歳」と叫ぶと、驚いた馬車馬が立ち止まってしまいました。

そのため、第二声の「万歳」は小声となってしまい、最後の「万々歳」は言えずに祝賀の発生は終わってしまったのです。これを聞いていた他の観衆は、学生たちが「万歳」を3回歓呼したものと思い込み、以後祝賀の歓呼は「万歳」だけとなり、「万々歳」は使われることはなくなりました。

2月11日の出来事としては、伝承として初代天皇の神武即位(前660年→神武元年1月1日)、ノルウェーの独立(1814年)、エチオピア皇帝テオドロス2世の即位(1855年)、「ロボット」という言葉を生んだ戯曲『R.U.R.』原作のテレビドラマの放送(1938年)などがあります。

ちなみに2月11日は「建国記念の日」・「万歳三唱の日」の他に、「わんこそば記念日」・「麺の日」・「文化勲章制定記念日」などに設定されています。